TBSドラマ「カルテット」の脚本を務めた坂元裕二さんが
是枝裕和監督との対談で、俳優さんやカルテットの秘話について語っていました。
このお二人の対談、6月にもありましたよね。
おそらくかなり好評だったのだと思います(笑)
enpaku 早稲田大学演劇博物館 | 坂元裕二×是枝裕和トークショー ドラマの神様は細部に宿る
早稲田大学で、2017年6月だったと思います。
相当話題になったカルテット終了後で
坂元裕二にいろいろ聞きたいというファンも多かったことでしょうし。
で、今回もということで。
今回の対談のきっかけは、是枝裕和さんが監督を務めた映画「三度目の殺人」の公開を控えて、ということで、PRをかねたものなんだろうと思います。
三度目の殺人は、是枝裕和さんが「そして父になる」に続き、福山雅治さんとタッグを組んで作った作品だそうです。
「三度目の殺人」は、福山雅治と役所広司が共演する法廷サスペンス。福山演じる弁護士・重盛と、役所扮する殺人犯・三隅を中心に展開する。裁判をビジネスと割り切っていた重盛が、2度目の殺人を犯した三隅の供述に翻弄されながら真実を追い求めていく姿が描かれる。
役所広司さんも出演ということで
これはこれで、面白そう(笑)
おそらくですが、この短期間に2回もトークショーに出ることをOKされているので
坂元裕二さんにとっても、是枝裕和さんのことは好きだったりリスペクトする部分があるんだと思います。
とくに今回は是枝裕和さんの監督作品のPR活動の一環だと思いますしね。
そうでなければ協力しないでしょう(笑)
ちなみに、坂元裕二さんはすでに「三度目の殺人」を5回みた、とトークショーで語っておられました(^_^;)
「監督」といっても、「三度目の殺人」で是枝裕和さんは「原案・脚本・編集・監督」を務められているので、脚本家としてもいろいろ感じるところがあるのではないでしょうか。
まあ、脚本書くだけじゃなく、監督までやるっていうのは相当なパワーでしょうし
そこだけみても敬意を払うことは理解できますよね。
で、是枝裕和さんの作品についてのやり取りはこちらでご覧ください(^_^;)
坂元裕二さんについての部分だけ、ご紹介したいと思います▼
『三度目の殺人』と「カルテット」は似てる!? | ニュースウォーカー
↓カルテットはこちらで観られます
あて書きとは何なのかわかっていない
これはとても意外だったのですが、坂元裕二さんは
「あて書きとは何なのかわかっていない」と発言されていました。
え〜〜っと・・坂元裕二さんはあて書きをされる方としてけっこう有名だった気が・・(^_^;)
いや、本人は「あて書きはしてない」と言ってるわけではないようなので
ぼくは、「あて書きとは、正確にどうやってやっているものなのかわからない」のような意味でとらえました。
違っている可能性もありますけどね(^_^;)
でも、全く役者さんを想像せずに書いているとは思えないので。。
それに対して是枝裕和さんは「声です」「声で書けるかということ」と回答されており、なるほどと感じました。
その俳優自身のパーソナリティーを知っている場合は
やはりどういうことを言うのが得意か、どんなふうにみえるのか、ということを想像して書いてそうなんですけどね。
あとで出てきますが、カルテットにおける松たか子さんについては
信頼しきっていたそうです。
そういうところからも、役者さんを思い浮かべて書いてますよねー(笑)
カルテットは出演者が早くから決まっていたというようなことをどこかで読んだので
おそらく脚本を書いていく段階で、あて書きされていたんだと思います!
しかしご本人は、どうやってやってるのか、という意識がないみたい(^_^;)
輪郭がつかめていない人物を役者がくっきり見せてくれるときがある
是枝裕和さんが役所広司さんについて、事前に役所さんのパーソナリティーを全く知らない状態で脚本を書いていたが、実際に演技をみたときにその演技にうなり
自分が書いた人物を演じているように思えず、ドキュメンタリーの監督をしているような気持ちになった
ということを言われていました。
「こちらも輪郭がはっきりつかめてない人物を、役者がくっきり見せてくれる時ってありますよね。面白い演技を役者さんが生み出す時が。きっと小さい積み重ねで、お芝居の面白い瞬間ができているのかな」
と坂元裕二さん。
これ、こちらも前に高橋一生さんが語っていたんですが
高橋一生さんが坂元裕二さん脚本で何らかの役を演じた際に、
高橋一生さんがしていった髪型の情報が、次の回以降にキャラクター設定に加わっていた
という話をされていました。
まあこれは演技のことではないんですけど
要は、高橋一生さんのその身なりをみて、「あ、これがこの人物なのか」と逆に坂元裕二さんが気付かされた、みたいなエピソードかなと思いました。
ドラマって、脚本家がお話しは書くんでしょうが
それを何倍にも面白くできるかどうかは、やはり俳優さんにもかかっているということなんでしょうね。
松たか子は日本一のコメディエンヌ
これは僕も、激しく同意します(笑)
というのも、松たか子さんの素がみられるような番組で、松さんが女優として役で言うセリフではなく、自身の言葉をしゃべっているのを聞くと
「あ、この人、笑いをとれる間とか、言葉とかを知っている人だ」と何度も感じたことがありました。
番宣で出ているバラエティ番組とか・・
あと、がっつり出てたのでいうと、木村拓哉さんと深夜に車でデートする企画(映画「HERO」の番宣企画でスマスマかなにかで放送されていた)とか。
かなりモテるんじゃないかなと感じました(笑)
そして男っぽい。
なんとなく、女性というよりは男性ぽい、笑いを提供できる人なイメージなんですよね。
坂元も「松さんは日本一のコメディエンヌだと思っていて、確実に笑いがとれるという安心感がある」と松を絶賛する。「松さんは何を投げても打ち返せるタイプの人。それは最初からわかっていたので、ほぼ(脚本で)気を遣ってないです」と語った。
やっぱりあて書きしてますよね(笑)
ちなみに、是枝裕和さんは
松たか子さんは舞台は素晴らしいけどテレビではその才能が活かされていない気がしていた。
しかし「カルテット」の役は素晴らしかったと発言されています。
俳優たちは「カルテット」の後半の展開を知っていたのか?
是枝裕和さんは、松さん以外の3人は知っていたのか?と聞いていましたが
坂元裕二さんは「誰も知らない」と回答しています。
たしかこれも
松たか子さんが後半に台本をもらったときに
「え!?私って・・・誰なんですか・・(笑)」と言っていたそうなので(笑)
おそらく、松たか子さんも知らなかったんだと思います(^_^;)
むしろそこはすごくて
後半あの動きになるには、前半の演技とやっぱり矛盾するところが出てきそうなんですよね。
だって、実は他人になりすまして別名を名乗っている
なんて、松たか子さん自身が知らなかったわけですから(笑)
当初は結婚生活を、夫のことを隠している
ということぐらいしかわからない状態で撮り始められたと思うんですけど・・
そこから後半に、あれだけダークな雰囲気を醸し出すところまでもっていく
という力量が、やっぱり松たか子さんはすごいなと。
(音楽ホールで、なぜ「死と乙女」というお父さんを殺したかもしれない女だとあえて思われるような選曲をしたのかとすずめから聞かれた真紀は・・悪そうな顔で・・「こぼれたのかな、と)
カルテットの台本が、いつの段階ですべて出来上がっていたのかはわかりませんが
坂元裕二さん自身が言うように、おそらく松たか子さんには一切遠慮してないからこそ
あれだけの急展開の内容のドラマを描くことができたのかもしれませんね。
※追記---
夫を殺したのか、については当初から松たか子さんには伝えていたそうです。「殺していない」と。
ただ、別名を持っているという話は、やはり伝えていなかったそうです(笑)
坂元さんは俳優さんに喋ってもらいたい一心で脚本を書いているらしく
「仕事にならなくても脚本を書くか?」という質問に対し
「お金がどうこうじゃなくて、僕は俳優さんが演じてもらうのが好きだから、それがないんだったら、あまり文章を書きたいとは思わない」
とのことでした。
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ちなみに、カルテットには満島ひかりさんが
是枝裕和監督の「三度目の殺人」には満島真之介さんが出演されています(笑)
あ、とくに意味はないのかな(笑)
是枝裕和さんが語っていることで最も面白かったのは、「福山雅治は嫌な奴をやらせるとうまい」でした(笑)