あんまりややこしい専門的な話は抜きで。
一般の人目線で。
iPhoneとかAndroidスマホ向けにアプリが提供されているLINE。
NAVER(ネイバー)という韓国の最大手ポータルサイトを運営する会社、NHNの日本法人が開発したサービスです。
韓国が親会社の企業ですが、ライン自体は日本のNHN JAPANが単独で開発したものだそうです。
だから親会社が韓国企業とはいえ、日本発のサービスと言えそう。
LINEがここまで広がったのは、無料通話という機能を提供していたから。
パケット通信定額の枠内で電話もできてしまうという機能で、例えば親が料金払ってくれてる学生とかにはかなり嬉しい機能。
一般的な電話と違って、インターネット回線上に音声をデータの形で送り出してやりとりする。…から、品質は一般的な電話と比べると良くはない。
けど、一般的な電話の場合は通話の品質を確保するために
簡単に言うと(いや、表現がむしろおかしいと言われるかもだが)電話がつながってる間はその通話のための「通り道」を専用で確保することになるため、コストがかかる。
これがインターネットの仕組みを使った場合は、そういう確保をせずに、メールとかネットのデータと同じようにやりとりすることになる。
ので、電波が強い弱いだけでなく回線速度・混雑状況などの環境に影響を受けてしまうため通話品質は悪い。
けど、インターネット回線を使ってやりとりできるので、サービス提供会社も一般的な電話と同じような機器の準備まではしなくても良くなる。
…ということで、運用コストがかなり低い。
けど、コストが低いといってもゼロではないし、そんなサービスを提供して何が嬉しいの??と。
そこにはちゃんと見返りとして想定しているものもあるし、さらに会員が増えたことで儲かるようになってきた、という構造もあります。
LINEによってNAVERが得られる利益とは??
1 「ネイバー」という会社、サービスの売り込み
タダのサービスをやる場合って基本的には他に目的がある。
もともとは、LINEの提供会社である「NHN」さらにその主たるサービスであった「ネイバー」の名前の浸透、これが目的。
ネイバーは、韓国でかなり有名なポータルサイト。
日本へ進出するも、たぶん日本では知ってる人でも「あ〜あの、まとめの会社ね」と。
ネイバーまとめは日本でも利用者が徐々に増えてはきましたが、それも一般的な認知度が高いかと言われると…??
日本でのサービス展開を起軌道にのせるにはまず知名度も重要。
無料通話自体は無料である以上お金を払ってくれないので儲けはない。
が、これが人気になって広まっていけば、ネイバーとかNHNとかいう名称を目にしてもらえる可能性は上がる。
そして、儲け・利益を生み出す別のサービスの利用を促していく。。
ということで、宣伝の意味合いで提供していると。
2 LINE上で表示できる広告を企業へ販売
これは利用者が増えてきて初めてできることだが、今のLINEはもう何千万人もユーザーを抱えているので可能。
何千万人のスマホを対象に、広告を出しませんか?と企業にもちかける。
企業にとってはかなり多くの人の、しかも手元に持ってるスマホにダイレクトに情報を送ることができるのは大きな魅力。
しかも、LINE上なら、そこからまた友達へ伝えてもらえる可能性も、その他の方法で宣伝するよりは可能性が高い。
口コミ醸成に最適!そう感じると思う。
すでにLINEをやってる人ならわかると思うが、日本の名だたる大企業が次々公式アカウントを開設している。
これ、詳しくは公式で確認いただきたいが、
公式アカウント開設費用が
初期200万円、月額150万円
らしい。
これは他の宣伝媒体と比較してかなり高額。
TwitterとかFacebookなら、企業が専用ページを持つこと自体は無料だし。
いや、何が高いかというと、始める時の費用が高い。
普通は、最初は効果がわからないから…という客を取り込むためにややリーズナブルに提供しそうなものだが、LINEはどうやら違うらしい。
それだけ商品に自信があるということか。
月額費用は広告送信料と考えたら、まあ…
とは言うものの、「友達」を増やす努力も別でしなきゃいけないし…
…ということで、大きい企業さんが我々のかわりにLINEにお金を払い、利益をもたらしている。
最終的には、我々が広告を送ってもいいよー というかわりに、無料で使わせてもらっているんだが。
企業向けの広告メニューも、公式アカウントを作る以外にも、スタンプを作って配布するという機能もあるっぽい。
スタンプのことは次で書くが、
こちらは作るのに、1,000万円ぐらいからと、かなりの費用で、しかも永続的に配布できるわけではないという条件つき。
会員という形で囲い込んだ人たちへの広告配信になるので、一般的なWeb広告よりも高い金額を設定できる…ということ。
3 スタンプの販売
LINEがなかなかすごいのは、無料通話を提供…というところで終わらなかったところ。
無料通話を提供することは、他の会社でもできてしまう。
だから、他に強力な無料通話アプリが登場したら、みんなそちらへ移ってしまう可能性があった。
無料通話自体はSkypeとか、他のサービスがもっと前からあったし。
そこでLINEが提供し始めたのが、「トーク」と呼ばれるSMSのようなサービス。
ちょうどiPhoneのSMSのような画面・方法でメールをやり取りするもので、普通のメールとは違い、相手とのやり取りが会話のように表示される。
この「トーク」は、iPhoneが広まったことで、この形でメールをやり取りすることに慣れた人が多くなってきたタイミングだったため、トークを使うことに抵抗がなかったんだろうと思う。
でも、それが単にSMSと同じなら誰もわざわざLINEトークを使う訳がない。
LINEトークの特徴としてあるのが「スタンプ」
簡単に言うと、デコメをもっと簡単に送りやすくしたもの…というところか。
スタンプのように、トークの画面に押すとそれが相手にそのまま送られるという。
…かなり大きい絵文字みたいな。
これが…なかなか面白い。
デコメと違うのは送るのが簡単ということと、スタンプだけを送ってもなんだかやり取りが成立していること。
そして、コレクト性。
俺はこんなスタンプ持ってるぜ〜という自慢。
だから、人が面白いスタンプを使ってたら自分も欲しくなる。
送られてきたスタンプは、受け取った方が保存はできないので、欲しかったら買うしかない。(プレゼントする機能はあるが)
1つのスタンプがだいたい170円くらい。
1つといっても、正確には1セット。
同じ絵柄を使ったものが40種類入っている。
もちろん無料のスタンプもあるが、やっぱり有料のものが質が高い。
人気のキャラクターや漫画、アニメの主人公など。
こういうキャラクタースタンプは、販売するとその権利を持った会社にとっても収入になる。
しかもLINEの仕組みの上で著作権が侵害されないような作りになっていれば、権利者としても安心してキャラクターを出すことができる。
例えばiPhone上でLINEのスタンプを買う場合、170円という代金を
Apple …App Store使用料
LINE …LINEでの販売手数料
権利者 …キャラクター使用料
だいたいこんな感じに分けることになる。
LINEからすれば、Appleに取られる分が余計だ…と思うかもしれないが、iPhoneにむけて配信できるメリットを考えたらしかたない。Appleを通さずに売る方法は、正しい方法を取る上では存在しないのだから。
…とにかく、売れればLINEも権利者も儲かる仕組みができてるわけだ。
しかもこれは何かの代用ではないから完全に新規。
代用があるとすればデコメ用の画像だが、ガラケーが減ってきてスマホへ移行していく中でデコメはどんどん利用されなくなってきていると思われる。
ので、権利者側も抵抗なくキャラクターを出せるはず。
そして人気キャラクターが出てくればもちろん利用者は欲しくなる。
利用者が自分の意思でスタンプを買う…ここがまたミソで、要は利用者自身が無料アプリだと思って使い始めたLINEに対して自分からお金を払っているのだ。
これって利用者を減らさずにマネタイズするには重要な要素。
例えば、月に1個ずつスタンプを買ってる人がいるとする。
毎月170円払うわけだけど、
これが
今月からLINEの利用料金は170円です(ただしスタンプは無料)。
としたらどうなるかというと、
確実に利用者が減る。
「自分の意思で払う」が重要で、しかも払い続けてもらうには魅力的なサービスを提供し続けなければいけないが、それも権利者の協力が得られれば可能…という。。
本当によくできた仕組みだ。
ということで、
無料と言いながらもコストをかけず、ちゃっかり利益を得られる仕組みを作っている。
これがLINEのサービスです。
同系統のサービスが次々登場していますが、
通信キャリアが直接乗り出すぐらいのインパクトがないと、このLINEの独走はひっくり返せないような…
逆に、通信キャリアが本気で参入してくる場合にはまだひっくり返されるリスクがありそうです。
あと、AppleとかGoogleが、端末に同系統のアプリをプリインストールしておくとかね。
とにかく友達も同じアプリを持ってないと成立しないものなので、一気に広めることができる企業なら可能性はあるかと。
でも、やっぱり、
スタンプというわかりやすい名前で魅力的なサービスを広めた功績は大きいなぁと。
スタンプ=LINE
だしね。
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