2022年秋ドラマ
フジテレビで放送の「silent」(サイレント)の感想と考察です。
↑この記事の内容は、動画でご覧ください↑
■出演者
役名 ー 俳優名・女優名
青羽 紬 ー 川口春奈
佐倉 想 ー 目黒 蓮(Snow Man)
戸川湊斗 ー 鈴鹿央士
佐倉萌 ー 桜田ひより
青羽 光 ー 板垣李光人
/
桃野奈々 ー 夏帆
/
春尾正輝 ー 風間俊介
佐倉律子 ー 篠原涼子
他
■スタッフ
脚本 生方美久
(第33 回フジテレビヤングシナリオ大賞 『踊り場にて』)
音楽 得田真裕
(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、『グッド・ドクター』、
『監察医 朝顔』シリーズ、 『アンナチュラル』、『MIU404』他)
主題歌Official髭男dism 「Subtitle」
(ポニーキャニオン)
プロデュース村瀬 健
(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう 』、『信長協奏曲』、
映画『キャラクター』 、映画『約束のネバーランド 』 他)
演出
風間太樹
(『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』、『うきわ ―友達以上、不倫未満―』、『脚本芸人』、
映画『チア男子‼︎』 『チェリまほTHE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』他)
髙野 舞
(『アライブ がん専門医のカルテ』、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、
『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』他)
品田俊介
(『ミステリと言う勿れ』、『信長協奏曲』、『失恋ショコラティエ』、『隣の家族は青く見える』他)
制作著作
フジテレビ
ここからは、動画で話している内容の概要です↓
こんにちは。
フジテレビドラマ「サイレント」
今回は、奈々がなぜ手話教室の春尾を訪ねたのか、についてお話しします。
この動画をみていただくと、奈々が春尾とのところへ行くきっかけとなったことを知っていただくことができます。
この動画内容は概要欄に記載のブログで、文字で読むことが可能です。
本編映像はTVerやFODでお楽しみください。
それでは早速はじめていきます。
ーーーー
第7話の最後あたりで、奈々が手話教室を訪れているシーンがありました。
春尾が手話教室の看板をみている奈々をみて、「ご興味ありますか?手話」と話しかけるんですけど、そしたら奈々が春尾の方を向いて、
奈々の顔をみた春尾が驚くんですよね。
そして奈々が久しぶり、と手話で語りかけたら、春尾も久しぶりと手話で返します。
ということで、二人は知り合いだったということですね。
このシーンをみただけだと、二人は単なる友達なのか、
それとも元恋人のような関係なのかすぐにはわからないのですが
ぼくの考えがまとまりましたのでお話しできればと思います。
色々考えてきたのですが、やはりこの二人は元恋人同士、もしくはお互いに想い合うような間柄だったように思われます。
その理由についてお話ししていきますね。
ぼくがずっとひっかかっていたこととして、この二人が元恋人のような関係だったとしたら、奈々が会いに来るのが早すぎないか?というのがあったんですよね。
もし過去に恋人だった春尾へあらためて奈々が想いを寄せるとすれば、想への想いを断ち切って、想に別れを言ってからだと思われ、
想とやり取りをした直後に春尾に会いにいく、という行動がどうしても理解できなかったんですよね。
「なぐさめてほしい」というような投げやりな理由でなければ、元恋人に対してそんな行動を取らないんじゃないかと思っていました。
奈々は想とは、ちゃんと気持ちを伝えあって、理解して別れたように思います。
まあ、奈々と想は付き合っていたわけではないので、正確には別れたというのはおかしいかもしれないですが、でも、奈々はそれぐらいの気持ちだったと思うので、おそらく「別れた」という表現でいいかなと思います。
だから、そんな想と別れてすぐに元恋人である春尾のところへ行ってしまうような、奈々はそんな心持ちではないはず・・と思っていたんですが
今、奈々が春尾を訪ねていく理由ということで自分なりに納得できるものがありましたのでお聞きいただければ嬉しいです。
奈々が春尾を訪ねるきっかけになったシーンは、このシーンだったと思います。
奈々が想をみかけた図書館でのシーンです。
子供が想の手を引っ張っていって、本を取ってほしいとお願いしたところですね。
この図書館での出来事が、奈々を春尾のところへ訪ねる気持ちにさせてくれたのだと思いました。
まず最初に言っておきたいのですが、
子供が手にとった本にてんとう虫が書かれていて
そのてんとう虫の本を持った子供が奈々のところに走っていったので、
奈々には幸せが訪れるはず、というような抽象的な話ではないです。
もう少し具体的なことがあったと思っています。
ただ、せっかくなので、てんとう虫のことも考察しておきたいと思います。
てんとう虫は以前も印象的に使われているシーンがありましたよね。
紬の家にいる湊斗がてんとう虫をベランダから離してあげたところ、その先に想がいた、想は紬と話すために紬の家に歩いてきていて、てんとう虫を逃がすためにベランダに出た湊斗が想をみかけたんですよね。
そのあと、湊斗が号泣しながら想に対して想いをぶつけるシーンがありましたが
それを経て、湊斗と想は分かり合うことができて、想は高校時代の同級生たちと再会することができました。
このてんとう虫について、番組プロデューサーの村瀬さんがインタビュー記事で「てんとう虫は幸運のシンボル」という話が監督を交えた打ち合わせで出ていたとおっしゃっていました。
そして、このシーンでてんとう虫が出てきたことに対し、SNS等で視聴者が「てんとう虫が幸せを運んだ、想と引き合わせてくれた」と考察していた事に対し、村瀬さんは「じっくり観てくださっているな」と感謝されている様子でした。
だから、てんとう虫が幸せを表している、というのは間違いない話なんですよね。
ちなみに、幸せを表しているとして、湊斗のシーンも2つのとらえ方ができて
1つは湊斗が想へ幸せを運んでいる、湊斗が想を幸せにしようとしているという意味
そしてもう1つは、湊斗から幸せが逃げた、その幸せが想のところへいったという意味にもとらえることができます。
どちらの可能性もありえるのかなと思うのですが、
湊斗から逃げた幸せが想のところへ行った、という意味だと、てんとう虫が紬のことを表しているように思えるんですよね。
てんとう虫ってお天道様へ飛んでいく虫という名前らしく、太陽の神の使いと言われているそうです。
紬は「明るく、元気」というところが素敵なところとされているので、太陽のイメージと近く、だからてんとう虫は紬、という考えも納得できる気がします。
では、図書館のシーンをもう一度見返してみるのですが
このシーンでは、てんとう虫の本を手にした少年が想の手から床におり、そして走っっていきます。
奈々の方へ行くんですが、別に奈々にてんとう虫の本を渡すわけではないんですよね。
通り過ぎて、もっと奥の方まで走っていってました。
だから、このシーンでは、てんとう虫が具体的に誰かを指す、とか何かを指す、ということはなくて、やっぱり「幸せや幸運」の象徴として描かれているんだと思いました。
想から幸せが逃げて・・想の持っていた幸せを奈々が受け取った、というような描かれ方ではないと思います。
想から奈々へ、少年を介して幸せをもたらした、そういう印象がありました。
では、どういう幸せを想が奈々へもたらしたのか、ということを考えていきたいと思います。
このシーンは、聞こえる少年が想を引っ張っていって、高いところにある本を取ってもらおうとするシーンでした。
少年は目的の場所まで想を連れてきたら、あの赤い本だよ、と想へ言うんですが、想は聞こえないため、どうしていいかわからないんですよね。
本を取ってほしいようだが、どの本なのかわからない。
そして、想が取った行動はというと、
少年が指差すところがハッキリとわかるように、指差すところまで少年を抱きかかえてあげて、そして目的の本がわかるようにしたんですよね。
そして、目的の本がてんとう虫の本だとわかり、それを少年と一緒に手に取りました。
このシーンをみて思い出したのが第6話での奈々と想の会話です。
あの子に聞こえない想くんの気持ちはわからない
と言われた想は、
奈々はいつも聴者とはわかりあえないと言うよね
だったら俺とだってわかりあえない、ろう者でも聴者でもない
そして奈々は、わたしもあの子も想も、誰もわかりあえないね、と答えていました。
そしてこのシーンに戻るのですが
このシーンでは聴者である少年と、中途失聴者である想がわかりあえたシーンだと思います。
どうやってわかりあえたか、というと、
想が少年は何をしてほしいのか、ということを考えて、行動したことですよね。
相手の立場になって寄り添い、自分が歩みよって理解しようとした。
その結果、コミュニケーションを取ることができた、というシーンだと思います。
少年の方も、意図せずではあると思いますが、聞こえない想を呼ぶときに手を引っ張っていました。
少年も意図せず想とコミュニケーションをとるために歩みよっていたんですよね。
その結果、聴者と中途失聴者である少年と想はコミュニケーションを取ることができ、目的を果たすことができました。
これを間近でみていた奈々は、「聴者とろう者のコミュニケーション」にとって大事なものを感じ取ったのだと思います。
相手が何をしてほしいのか、ということを考えて、行動する
相手の立場になって寄り添い、自分から歩みよって理解しようとする
そうやってわかりあうんだ、ということを感じたんでしょう。
これが奈々の気持ちを大きく変えるきっかけになったんじゃないでしょうか。
これまでわかり合えないと思っていた人たちと、本当にわかり合えないんだろうか。
もう少しやれることがあったんじゃないか。
そう考えたのだと思います。
そして、過去に想いあっていたのに、わかり合えないと一方的に決めつけてしまった相手、春尾のことを思い出したんじゃないでしょうか。
本当はわかり合いたかった相手である春尾。
その春尾と、もう一度わかり合うための努力をしてみよう
そう奈々は思ったのだと思います。
だから、想にお別れを言ったあとにすぐ、春尾のところを訪ねたのではないでしょうか。
図書館の少年と想のシーンは、てんとう虫が幸せを奈々の方へ運んでくれたシーンというとらえ方で良いと思いました。
ちょっと想像したことがあるんですが
奈々と紬がカフェで話をするシーンで
奈々は紬に「手話、下手くそだね」と言っていました。
紬にもっと手話を勉強したほうがいい、と伝えるため、というのもあると思うんですが
これはあくまで想像ですが
もしかしたら・・紬の手話の中に誰かの影をみたからではないか?という気もしました。
奈々は紬が通っている手話教室を知っていて、そこで春尾が働いていることもおそらく知っているでしょう。
紬がどんな先生から手話を教えてもらっているかはわからないと思うんですが
もしかしたらですが、春尾の手話のクセを紬が真似てしまっている可能性もあるんじゃないか?と思いました。
それをみた奈々は「手話、下手くそだね」と紬へ言った。
奈々は紬の手話の中に、春尾の影をみていたのかもしれません。
春尾へは奈々が手話を教えたのかもしれず・・春尾のクセを奈々はよく知っていたかもしれないですね。
図書館で最後に、奈々と想は話していましたよね。
このシーンは、想が奈々に対して「奈々にだけ伝わればいい」と言っていた場所で、
たぶんここから奈々の想への想いは始まっていたんですよね。
ほぼ同じような位置に座って。
そして今、この二人に有りえたかもしれない関係はここで終わるんですよね。
始まった場所で、しかも気持ちを伝えあって終わるっていうのはすごく素敵だなと思いました。
ここで、以前は手話で会話をしていて
声で話して怒らている子どもたちをみながら、自分たちは怒られない、手話を教えてあげようか、というような話をしていたのですが
今回は、想と奈々から笑い声が漏れてしまい、想と奈々がてんとう虫の子からシーっと怒られました。
これは、想と奈々が「2人だけの世界」手話で話す相手とだけの世界から、
それ以外の世界、聞こえる人ととも関わる世界へ飛び出したことを表していたと思います。
すごく素敵な表現ですよね。
想は紬や湊斗たちとコミュニケーションを取っており
そして、奈々はこれから、春尾と交流していく、そういったことを表しているのかなと思いました。
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ということで、
最後までご視聴いただき、ありがとうございました。
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